2022.1.10
人間の心の動きを知らないで生きてると『損する⁈』〜行動経済学って面白い!!〜
人は無意識のうちに動かされている
実は、何も考えていない。。。。
例えば、レジ横にあるものを何となく買っちゃったり、矢印に沿って並んだり、駅のエレベーターで東京は左? 大阪は右?で立ったり、無意識に動かされている。
以前、新大阪の駅で無意識にエレベーターで列の後ろに行こうとしたら、急に腕を掴まれて、「ここにいれば、入れる、何も考えず並ぶな」って言われたことがある。
偶然会った、取引先の社長で、びっくり!
『何も考えずに動くな!』ということや、従業員教育で、『ちゃんと考える!!』ということを常に大切と唱えている方なので、まさに、何も考えずにいた私は、逮捕状態。(笑)
トップ営業マンから社長になった方なので、人の心の動き、行動経済学をリアルに活用されてきた方なので、説得力があるんですよね。
行動経済学とは…
心理学+経済学=行動経済学
職業柄、「売場開発」や「サロンオペレーション(店舗での営業戦略の動き)」を組み立てる際に、感覚的に感じることの裏付け理論として、興味深い「行動経済学」。
特に美容業界では、この「行動経済学」が重要だと思っています。
なぜならば、
人間が、意思決定するときのくせが「行動経済学」
モノを売るに活用▶︎マーケティング
人を良い方向に導く▶︎マネジメント
「美容サービスやキレイになるモノ」を提供している人は、キレイになる方向にお客さまを導き、モノやサービスを売る。モノやサービスを売ることで、キレイになる方向に導くことができるという職種。
そして、何と言っても、この業界、「人」が多いのです。
事業規模の割に多くの社員さんを雇用しているということもあるから、人の行動、意思決定についてを抑えた人が強いですね…と感じます。
サクッとわかるビジネス教養「行動経済学」東京大学教授 阿部誠監修
とにかくサクッと読めるのに最適なので読んでみました。1、2時間で読めるくらいです(^^)
この本を美容サービスでの活用に置き換えて考えてみました。
人の思考は、直感と熟考の大きく2つの思考のモードがある
ヒューリスティックとシステマティック
ヒューリスティックとは、人が意思決定をするときに働く思考のプロセスで、自分の経験をもとに最適な手段を見つけ出して、深く考える必要のない場面で、早く判断するということらしい。
これって経験に基づくことだったりすると、誤った判断で、損失…ってありますようね。
そう考えると、行動経済学を理解しておくと、自分の直感的行動もちゃんと分析できて、いろいろな場面で判断を誤らないかも…なんて思ったりします。
まさに、「ちゃんと考えましょう!!」…ということ
もう1つの思考パターンが、システマティック。
高価なものや、こだわりの強いものを買うとき、人は性能、価格、用途、などさまざまな条件を考慮する。情報を集めて、じっくりと検討するというもの。
私たちは、場面ごとにこの2つの思考パターンを使い分けている。
ちゃんと知っておくと、意思決定の失敗をしなくて済むかもですね。
以前に聞いた話で、「物事がうまくいかないのは、間違った意思決定をするから」という言葉があるが、しっくりきます。
ということで、幾つかの事例をご紹介してみます。
見たことのあるものを買ってしまう
記憶に残っているものを信用する…
ありますね〜これ
コンビニエンスストアに行った時に急いでお水を買おうと思った時は、何も考えずに「いろはす」買ってしまったりする。見たことのないような物は、多くある中から、急いでいる時なんて選ばない習慣を感じる瞬間です。
ブランディングも、思い出されやすくする工夫や、繰り返されていたりすることで、人は、馴染みのあるものを安心して買ってしまいやすい。
人は、興味のある情報にしか反応しない!
選択的知覚
まさに、今は情報社会。あふれた情報の中で生活すればするほど、自分の興味のある情報にしか反応しないとなりそう。
これ、社内コミュニケーションで気をつけたいですよね。と思ったのですが、立場が違うと、興味関心のあることが違うため、部下が上司に報告していても、上司がその時に興味のないことだったりすると、忘れられている…という出来事。
「言ったじゃないですか!!」という腹立たしい気持ちになると思うけど、このこと知っていると、ちょっと納得できますよね。
ちゃんと話を聞いてほしい時は、『相手の興味関心に合わせる』相手の目線に立った考え方や伝え方が必要ということを改めて思いますね。
みんなそうですよ!!という言葉
身近な例が全体を映し出していると勘違いする
少数の法則
典型的なものだけを見て、全体も同様であると結論づける。
この会話もあるあるですよね。
周りの数人が言っていることだけれども、「みんな言ってましたよ」とか、「私の周りは、みんな…」
サンプル数が少ないと偏った結果が出る可能性を無視して、信じてしまう場合がある。
これは、気をつけたいですよね。
似たようなお話で、「典型例だけでイメージを作る」というものをステレオタイプ。
多くの人に浸透している先入観や思い込みで、イメージが作られてしまうこと。
私は、元客室乗務員ですが、ある仕事のご依頼で海外から美容師さんが来られてセミナーをする際に「通訳できますか?」というお話が以前にありました。
そうなんですよね、良く聞かれます。
「客室乗務員さんだったら、英語話せますか?」ということ。
客室乗務員は、英語を話せるというイメージなんですよね。確かに話せる人は多いのですが、私は、国内線でした(^^)という会話のくだりになるのです。
サロンオペレーションで活用したい!!
初頭効果とピークエンドの法則
いつもセミナーでお決まりでお話ししている「第一印象の重要性」これを初頭効果というらしい。
第一印象が良いと、その良い印象が残り続けるということが1つ
そして、もう1つが、絶頂時と最後の時点「エンド」が思い出全体に対する印象を左右するということ。
盛り上がった時のことと最後以外は記憶に残りにくい。
という話。
まとめると、お客さまが思い出して、「また行きたい!」と思うお店を演出しようと思ったら
- お出迎えと初めましての挨拶で、第一印象良くして
- サロン滞在中、とても盛り上がる瞬間をつくり
- お見送りの時、次回を楽しみにすることか宿題を共有する
この3つのポイントをおさえることが大切♡
美容の仕事は、お客さまを「キレイ」「美しくなる」方向へ導き、必要なサービスやモノをお客さまに購入してもらえないと「キレイ」「美しくなる」を実現しきれない…
美容のプロフェッショナルとは、どうしたらキレイになるのか?悩みを解決してあげることができるのか?という、問題解決をするスキルやテクニックと、同時に、お客さまがキレイになる方向に取り組みたくなる「マネジメント」が不可欠。美のホスピタリティには、このマネジメント的思考を持った上での、おもてなし精神となるから奥が深いと思っています。
そこで活用したい効果
- ハロー効果
- 確証バイアス
- フレーミング効果
- ブラシーボ効果
- アンカリング効果
- 極端の回避効果
この6つをマスターすると良いのではないか!と思いました。効果の名前を覚える必要はないので、内容が重要ですね。
⒈ハロー効果
ひとつの評価=全体の評価
身だしなみがよいと、能力が高い、できる人。可愛い顔の人は、性格も可愛いとか、一つの側面が優れていると全体を高く評価されるという効果。
だから、『強み』を武器にして、その強みが前面に出ていると、その1つの評価が、その人の全体の評価を上げてくれる。
逆にネガティブな一面を見て、全体をネガティブに見てしまうこともあるから気をつけたい。
特に、1人の非常に態度が悪いスタッフさんがいたとして、そのひとりの印象が強烈だと、サロン全体の印象がネガティブに運んでしまう…というもの。
人は、目立ちやすい特徴に引きづられ、他の特徴についての正確な評価を怠るという性質を理解しておきたいですね。
⒉確証バイアス
都合のよい情報ばかり集める
物事の判断には、好き嫌いというものも出る。
自分の意見に対する反対意見を集めようとはしない。
悩んでいたりする時ってそうですよね。というのは、悩んでいる時に相談する相手を選ぶ際に、反対意見や厳しい事を言うひとではなく、自分の意見を後押ししてくれる人に相談するというパターンがある。
よく会社や仕事辞めたいと思った時は、会社が嫌、仕事が嫌という感情の時は、気をつけた方が良いという話をします。上手くいかない時というのは、自分の課題をクリアしないといけない時だったりする。
その状況下にある時とは、自分にとって都合の良い情報を集めようとしていくと、どんどん嫌な気持ちになり、早く辞めるしかないと思っていったりする。
そんな時に、会社や環境や人が悪いと思ってしまうと、結果、どこへ行っても同じようなことで挫折してしまう可能性がある。
会社や仕事を変える時は、『ステップアップ』『キャリアアップ』と前向きな気持ちの方がいいですね(^^)
自分にとって都合の良い意見を集めるのが、人間らしいことと十分理解した上で、相談相手やお付き合いする人を考えることも大切かもしれないですね。
⒊フレーミング効果
全く同じ状況でも、表現の仕方を変えると、印象が変わる
割引の場合、高額商品の場合は割引率の表示にして、安いものは金額の表示にする方が効果があると言われている。
結果が同じなのに、聞こえ方が違うことによって印象が変わる。これは、いろんなところに存在している。
7万円のドライヤーが年末で20%OFFキャンペーンと言われるのと、1000円のヘアスプレーが20%OFFと言われると、お得感が違って感じられるという話ですね。
割引などをしている時は、高額になる方がお得感を感じてもらえる可能性が高いかもしれないので、すべてのトータル金額の正規の料金を算出した上で、20%OFFだと「今なら」いくら…と表現すると良いですね。
⒋フラシーボ効果
人間は、思い込みだけで効果を得られる
なんですか〜〜!!ダメダメ、悪用厳禁ですが…
新薬の効果を検証するときに、効果がない偽薬を飲ませて効果を検証したところ、偽薬の方も症状が改善したという結果が多数出ているらしい。
美容を提供していく上で、本当に大切。
説明やお話の内容で、効果があるように感じてもらえるような信頼関係作り。偽物はダメだけれども…
自分が好き、自分が正しいと感じたことを肯定するから、認知のバイアスが生じるということをおさえておきたい。
基礎化粧品は、信者のように自分の使っているものを信じて使っている方が多くいらっしゃるので、実際に使われているモノを否定したり、こちらの方が優れていると言って、別のアイテムを紹介しても、なかなか伝わらないということは、とてもよく理解できるお話かと思います。
だから、気に入って使用しているものを決して否定しない方が良い!!これは、美のホスピタリティの原則ですね。
好きなもの、信じているものを否定されたら嫌われるリスクありで、正論の戦いをしても無意味なことっていっぱいあります。
⒌アンカリング効果
最初に提示された情報がのちの判断に影響を与える
1000万円の車!と聞いていたものが、700万円と聞くと高いのに安く感じてしまうという話。
この効果を活用できるのは、最初の情報の重要性かと思います。
美容のサービスというものを、メニュー一つ一つを売っているという感覚ではなく、「キレイになる」「キレイを手に入れる」という考え方をしてみます。
すると、カウンセリング時にキレイを実現するために必要なアイテム、サービスメニューのすべてを提案して、そのトータル金額を算出した上で、そこからどうするかを考える方が良い…というお話。
ちなみに私が、リッツカールトンでブライダルスタイリストとして現場でやっていた時、ドレスもブーケも美容も全て、最高のキレイを実現するために必要なモノを提示して、見積もりをしてから、お客さまのご予算に合わせていくということをしていました。
すると、最初より安くなったのに当日キレイになると、実際に安く済んだことを喜んで下さるのです。
でも、正直、決して安い金額ではなかったと思います。
同じ金額をお客さまに支払って頂くのであれば、得したと思っていただくのは、やはりホスピタリティがなせる技だと感じます。
⒍極端の回避効果
人は、両極端を嫌う
二択にするとどちらか迷いやすいが、三択にすると真ん中を選びやすくなるというお話。
これは、有名ですよね。松竹梅とあると、真ん中を選ぶというお話。
サロンで商品などを販売する時に応用すると、提案するアイテムやサービスは複数の方が良いというお話をよくします。
「やる」か「やらないか」、「買う」か「買わないか」という2択ではなく、どれにしようかな??となる方が良いですよね。
こんなあんなの人間の自然な心の動きや行動パターンを知った上で、自分の意思決定できるようになりたいものです。
🔜次回に続く